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インド系企業の時間感覚

インド系企業中東ビジネス

ドバイで存在感を放つインド

 

ドバイは「世界一キレイなインドの街」と皮肉られる。

正直、私もこれには共感しか湧かない。

なぜなら人口の約30%をインド人が占めているからだ。

 

私は、1日じゅうインド人としか会話しない日すらある。

 

インド人のアパート警備員に「行ってきます」を言い

インド人の運転するタクシーに乗り

インド人が清掃したオフィスに入り

インド人と商談をし

インド人のアシスタントが資料をコピーしてくれ

インド人にレストランで食事をサーブされ

コンビニでインド人から飲み物を買い

インド人運転手に送られて帰宅し

インド人のアパート警備員に「ただいま」を言う。

 

…ここはインドかな?

 

ともかく、

インド人を制するものがドバイを制するのではないか、

という気がしてくる。

 

ドバイとインドは距離的にもほどよく近く、

ドバイという都市がこのレベルに発展するよりずっと前から、

人の行き来が盛んであった。

 

よって今日ドバイで成功している

インド系ビジネスグループ・ビジネスマンというのも多数存在する。

 

今日は、

そんな某インド系の大企業グループとの仕事で

また困らされた話である。

 

時間感覚が違いすぎ!明日とはいつですか?

 

今回のお客様は、某インド系大手企業グループである。

お得意様だ。

 

しかし

毎回毎回、案件の開始から終了までの間に、

20回くらい「は!?」と言っているように思う。

 

今回、私は納品をしたかった。

予定通りに納品をしたかった。

 

私がしたかったのは、ただ、それだけだ。

 

それがなぜ、こんなに罠だらけなのか。

 

まず、3ヶ月ほど前に「X月X日にXXへ納品をしてください」という連絡が来た。

今回の納品先はオマーンにある。

UAEの隣国だ。車で行ける。

OK、OK。予定を逆算して私は手配を始めた。

製造、調達、物流、支払い関連、ばっちりだ。

 

すると納品予定日の1ヶ月前に「2ヶ月後に納品してください」と連絡が来る。

 

なんじゃそりゃ!

 

大慌てで再び手配を組み直す。

各種キャンセルや再手配。

納品日が伸びたことによって保管のための倉庫費用も発生する。

当然キャッシュフローが悪くなる。

幸いうちのチームは気の良い奴らばかりだ。

どうにか皆で対応してくれた。

 

そして新たな締め切りを客先に再確認しようとすると

「明日連絡しますね!」とのこと。

 

しかし待てど暮らせど連絡が来ない。

3日後に電話すると「明日、明日こそ連絡するから」。

 

明日って、いつだよ。

 

「今日の次の日」のことじゃなかったのかな。

 

結局、連絡は翌週に来た。

この会話における「明日」とは「翌週」のことだったようだ。

 

うっかり期日を「守ってしまった」

そしてようやく設定された新しい納品日に向けて再び走り出すプロジェクト。

たとえ振り回されようともお客様のため。

新しい納品スケジュールを確認してチームをアレンジする。

 

時折、お客様からも進捗の確認が入る。

どこまで進んだか。納品日に無事に届くか。進捗が分かる画像も送ってくれないか・・・etc。

OK、OK。順調に手配が済んでおりますのどうぞご安心くださいませ。

 

そして今日いよいよ物流チームが、UAEから国境を越えてオマーンへ納品に向かった。

片道4時間、トラックの旅。

がんばれおっちゃん。

 

携帯が鳴る。物流チームのおっちゃんだ。

 

マダーム!納品先の建物が工事中で、納品ができないよ!

 

・・・は?

 

お客様は、自分たちで設定した納品日までに、

納品場所の工事を終わらせることができなかったらしい。

そこに、指示された通りのスケジュール感で我々は納品してしまった。

 

しかも国境を越えてオマーンまで。

「じゃぁ来週また来るね」とは言えない。

 

結局、物流チームのおっちゃんは、工事現場の片隅に、

商品がダメージを受けないよう厳重に守った上で置いてくるしかなかった。

 

お客様!工事がお済みでないのでしたら、その旨ご連絡いただきたかったのですが!

どうしてなんの連絡もないのだろうか。

 

空気を読まないのは日本人の方?

 

実はその日、当社以外にも数社が同時に納品する予定だった。

しかし、物流チームのおっちゃん曰く、

当社の他には誰も納品に来ていなかったらしい。

 

どういうことだ。

 

そう、納品する側も、される側も、

納品日に納品すると思っていないのだ。

 

それが共通認識だったのだ。

 

別に連絡などなくても、お互いにそれが暗黙の了解で、バカ正直に納期をしっかり守ったこちらがおかしい

普通は、そこが、読めるはずなのだ。

 

「明日」という言葉が「翌週」を表していたこの人々に対し(それがフラグだった)

「1月20日」を「1月20日」のことだと思い込んでしまった私こそが、

空気読めてなかったのだ。。。

 

…あぁ、真面目に働くだけ損なのだろうか。

 

もう、最近は「英語→日本語」の翻訳ではなく

「英語→英語」の翻訳能力がほしい。

 

「コノ人ガ言ウNext Monthトハ、6 months laterノ、コトデス。」みたいな。

 

今月から来月にかけて、またこの企業とは大きな案件がひかえている。

次の舞台はサウジアラビアだ。

片道4時間で行けるオマーンとはワケが違う。

早くも先が思いやられ楽しみである。

 

悩ませるのもインド人、助けてくれるのもインド人

愚痴ってしまったが、その一方で、この納期を守るために、私の手配にきっちり従って、スケジュール通り駆けずり回ってくれた最前線のワーカーたち、工場、倉庫、物流班、経理、運転手・・・これらの面々もまたインド人。

 

私と彼らの間には、ちゃんと違和感なくコミュニケーションができるし(明日とは今日の次の日のこと、という共通認識が成立している)、信用している人間も多い。

 

言葉がうまく通じなくても、共に汗を流せば「マダーム!チキン、オーケー?」とサンドイッチを差し入れてくれるおっちゃんとか、締め切り前に砂漠地帯の工場に乗り込んで夜まで居座って作業を進めさせた私を「お疲れ」ってトラックで送迎してくれるおっちゃんとかもいる。

 

インド人を制するものがドバイを制する。

やっぱり、きっとそうだ。

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