ラマダン商戦を仕掛けてみた
さて前回は、ラマダン商戦の楽しいところを色々紹介させてもらった。
(深夜のお買い物って楽しいよね!)
今回は、そのラマダン商戦を仕掛ける側として経験したことを書いていきたいと思う。
さあ皆さんどんどん買ってくださいね、という側の話である。
日本のゴールデンウイークでは「大型連休だ!」という人がいる一方で、小売や飲食、交通機関で仕事をしている人にとっては「繁忙期!」となる。
それと同様のことが、もちろんドバイでも起きるわけで。
そんなラマダン商戦の舞台裏をご紹介したい。
半年前から社内外で打ち合わせ
ラマダン商戦に関する打ち合わせは、半年くらい前から始まっていた。
社内では、ラマダン向けにローンチする商品の設定や、プロモーション企画の立案。
それらを国別、販売先別に決めていく。
対外的には、ラマダン中の売場の場所取りの打ち合わせが始まるのも半年前だ。
例えばショッピングモールで、通路の真ん中にイベントコーナーみたいなものが期間限定で出て、綺麗なお姉さんがサンプルを配布しているのを見たことがあるだろう。
ああいう場所の割り当ては、半年前には決まっている。
この場所に、この寸法の台を置いてください。
必ずプロモーターを常時2名、配置してください。
電源の供給はここにあります。
…といったような打ち合わせだ(※)
これを中東各国の様々なモールと交渉し、手配を進める。
ドバイモールは、こう。
メッカモールは、こう。
モール・オブ・マスカットは、こう。
ベイルート・シティセンターは、こう。。。
制作物は、お立ち台からカードまで、ヘッドオフィスのあるドバイで全て一括で作成し、サウジアラビアやオマーン、レバノンといった各国の支店へ届けていった。
長時間労働が辛い!
前回の投稿でも書いた通り、ラマダン期間中の稼げる時間帯は夜である。
そのため、ショッピングモールは深夜まで営業時間を延長する。
これが、売る側にとっては辛いのだ。。。
ドバイモール出店のルールとして、このラマダン商戦の期間中は、普段どおりの時間で閉店することは許されない。
(勝手に店仕舞いすると罰金があるらしい)
例えば販売員を置くとする。
通常であれば、1人で終日通しのシフトで済むが、閉店が2時となれば2人で交代させる必要が出てくる。
シフトと人員配置の大幅変更だ。
それを補うために、普段デスクワークをしているフィリピン人スタッフも、このときばかりは販売員を交代させるために、店舗応援に出かけていった。
そして翌日オフィスでグロッキー状態。
眠いよね、そうだよね。。。
閉店している時間が短い
「閉店が遅い=閉まっている時間が短くなる」
ということなので、
「営業時間外タスク」の作業可能時間が短くなる。
例えば、搬入とか、ディスプレイの変更とか、修理とか、そういうのだ。
普段ならAM00:00〜AM08:00の間にできた作業が、ラマダン中はAM03:00〜AM08:00の間に済ませなくてはいけない。みたいな感じ。
急げ、急げ。
(そして、こういう時に限って重大な破損とか起きるんだよちくしょう!)
税関がクローズ!?
ひとつお恥ずかしい話だが、私はこのラマダン、まるで初心者のようなミスをした。
「ラマダンは社会全体的に動きが遅くなるから、余裕を持って仕事を進めよう」
これは常識だ。
もちろん私もそのつもりで動いていた。
あるとき配送物があった。
1つはオマーン宛、1つはサウジアラビア宛。
どちらもトラック1台分ずつ。
どちらもドバイから陸続きだ。
オマーン宛は、普段とあまり所要時間変わらず、到着。
一方でサウジアラビア宛は。
「ラマダンとイードが終わるまでサウジ税関が開きません」

・・・は?
仕事がゆっくりになる、とかいうレベルじゃない。
業務停止、ってオイ。
税関、仕事しなすぎじゃないかい?
どんだけ休むねん。
UAEとオマーンの税関は
仕事してるぞ!コラ!!
初めて納期をガッツリ破ることになってしまった。
ラマダンの後が本当の商機
ラマダン月が終わったら、ラマダン明けのお祝いであるイードという祝日がある。
大型連休でもある。
実はこっちが本当の稼ぎ時。
こちらの文化圏では、イードにモノを買い換えるのが縁起が良いとされている。
家具やら車やら食器一式やら、とにかく大型のものがガツンと購入されるのがイードだ。
イードは営業時間の長さは通常に戻っているが、ここで立つ売り上げは強力だ。
例えば友人のエミラティ(UAE人)のおうちでは、イードのタイミングでカーテンを変えていた。
カーテンと言っても、レールにフックで布をかけるとかいうレベルの話じゃない。
色や素材の異なる複数枚が折り重なって、
ドレープ(ヒダ)がモリモリ、
レースがふんわふんわ、
ベルベット的な素材が流れおち、
金の縁取りがわっしゃわっしゃ、
飾りがシャラララーンした
芸術的なカーテンのことだ。
この時期にお金が動いてるんだなぁ、と実感する。
現地の季節イベントを意識しよう
海外でビジネスをしていくからには、その国ごとの季節がらみの商機を把握していく必要がある。
中国の春節や、アメリカのブラックフライデーあたりはかなり知られるようになったが、
この記事がイスラム教圏で展開されるラマダンとイードの商戦について知る一歩になったら嬉しい。
コメント