ラマダン商戦・イード商戦を終えたレポート
以前ご紹介した通り、
イスラムの断食月であるラマダンと
ラマダン明けの祝日であるイードは
イスラム教圏において稼ぎ時である。
そんな商戦シーズンを終え、
各国のレポートを眺めていたら、
マレーシア・クアラルンプールの話が
めちゃくちゃ意外というか
盲点を突かれた気がしたので紹介したい。
(うちはドバイのオフィスから東南アジアにも手を伸ばしているのだ)
サウジアラビア人の女性が最大の顧客だった
結論から言うと、該当期間中
マレーシア・クアラルンプールで
いちばん買ってくれた客層は
サウジアラビア人の女性だった。
ん?
今マレーシアの話してなかったっけ?
間違いではない。
マレーシアの話である。
これは一体どういうことだろう。
遠い。
サウジマネーがマレーシアの売上を作った理由
マレーシア市場で最大の顧客はサウジ人。。。
こんな現象が起きた理由は、
このイードという祝日の特徴にヒントがある。
イード・アル・フィトル(عيد الفطر / Eid Al Fitr)
とはラマダン明けのお祝いであり、
学校や企業はお休み。
大型連休となる。
したがって、そのタイミングで旅行をする人がかなり多い。
イードに合わせてホテルや航空券はバンバン埋まる。
旅行業界のかきいれどきだ。
行き先は、世界中アリっちゃアリなのだが、
イスラム教徒の中には、
「同じイスラム圏が安心だ」という人も一定数存在する。
そうすると、
「旅行に行った気分になれる、十分に遠い距離」
「文化や気候が異なる国」
でありながら、
「同じイスラム教で安心」
というポイントを満たす国・・・
そしてマレーシアが選ばれたということである。
そして旅先のマレーシアで、
イードモード(意訳:散財モード)で
お金をしっかり落としてくれた。
マレーシアもイスラム教圏なので、
当然イード商戦に取り組んでおり、
彼女たちの購買意欲を真正面から受け止めた。
これがカラクリである。
文化を知ることをビジネスに繋げて
自分はビジネスをしに来たのだ。
異文化情緒を楽しみに来た観光客ではない。
文化の理解まで手を伸ばしている余裕はないーー
こういったことを言って、異国の文化を理解したり、立ち入ったりすることを拒絶したまま、
異国とビジネスをしようとする人を、時折、いや頻繁に見かける。
しかし、その姿勢のままでは決して繋ぐことのできない線がある。
その姿勢のままで掴める策は、場当たり的な対症療法でしかない。
なぜなら、人間の価値観や行動習慣は、
その土地の文化や歴史、気候、治安、宗教、倫理、社会構造、冠婚葬祭事情、
はたまたお小遣い事情、家庭の決定権事情、美の基準やコンプレックスなどに
複雑に絡み合っているからだ。
それらは巡り巡って、人々の消費行動やニーズの根源となるものだ。
だから、背景や理由となる部分(=文化)を知ると、応用が効くようになる。
知った結果、好きになっても嫌いになっても構わない。
大事なのは、好き嫌いじゃなく、知る知らない、だ。
私は中東に拠点を置く人間だから、中東やイスラムに関する部分を強調してはいるが、
しかし、中東やイスラムに限らず、どの地域・どの文化圏においても同じだと思う。
対象の国の文化というものに、
つまり、顧客の行動の背景にあるものは何なのかということに、
一歩踏み込もうとするビジネスパーソンが増えることを願ってやまない。
正面から取っくみ合うことで、これまで繋げなかった点が、ひとつまたひとつ、繋がっていくはずだ。
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