カシオの電卓が故障した(と思った)
ドバイのわが社は、CASIOの電卓を使っている。
電卓は電卓だ。
ドバイだろうと日本だろうと、
特に違和感なく使っていたのだが…
ある日、電卓の表示がおかしくなった。
「あれ?故障かな?」
と思った。
そのときの表示がこちら。
お分かりいただけるだろうか。

カンマの位置が
ちがーーう!!!
「1,000」まではいい。
その後、2ケタずつカンマが表示されている。
「10,00,00,000」
なにこれ、へん。。。
直らないかなぁと、いろいろあちこちのボタンを押してみた。
表のボタン、裏のボタン。
ペコペコペコペコペコ。。。
そうしているうちに、左上のボタンをしたときに、急に直った。
その時の表示がこちら。
うんうん、これがなじみのある表示。
3ケタずつにカンマだ。
もう一度、左上のボタンを押してみたら、やはり先程の変な表示になった。
どうやらこの電卓は「二通りのカンマ表示方法を、切り替えながら使用できる電卓」だったようだ。
これは一体どういうことなのか。
インド式の桁区切り
これは、インドやバングラデシュ式の桁区切りなのだそうだ。
彼らの言語では、命数(数字のケタの呼び方)が変わるタイミングが、英語とは違っている。
その言語に合わせてカンマを打つと、こうなるのだそうだ。
考えてみれば日本語では「千/万/億」と命数が変わるわけで、カンマの位置と適合していない。
子供の頃、素朴な疑問として「なんでカンマの位置と、数字の呼び方の変わる位置が、同じじゃないんだろ?」と思っていた。しかし大人になるにつれて、そんな素朴な疑問は忘れてしまった。
だがしかし!!
お国の数字の呼び方を優先し、カンマの打ち方の方を変えてしまう国があったとは!!
英語的表現に合わせないんかーい!
そっちを変えるんかーい!
なんていうか、こんなところでもお国柄を感じてしまうのは私だけだろうか。
「日本語的な区切りは置いといて、英語圏のやり方に合わせる」日本の数字表記。
「英語圏がなんだろうと、自国のやり方に合わせさせる」インドの数字表記。
自己主張の強さの違いが、こんなところにも出ているような…。
ドバイの消費者、インド人
カシオさんは正解だ。
巨大な人口を抱えるインド。
彼らのニーズをしっかり反映した商品を作ったこと。
そして、ドバイでは、そのインド式の商品を販売していること。
ドバイでモノを売るには、インド人の消費力を忘れてはいけない。
「ドバイで得るには、アラブ人のニーズを研究しなくちゃ…」
とばかり思い、ドバイに乗り込んでくる人(企業)も多いが、ドバイ、いやUAEの人口を構成する最大のお国はインドである。
インド・パキスタン・バングラデシュの3カ国を合わせれば、もはやUAEの全人口の半分だ。
(UAEの人口構成比2018)
UAEとインドの経済的な関係は本当に深い。
出稼ぎ労働者を多数受け入れている、という現代に限った話だけではない。
UAEは、自国通貨ディルハム(AED)を導入する前は、インドのルピーを使っていたほどである。
UAEとインドには、それほど長くて深い関係がある。
今回、商品の見た目はそのまんまなのに、インド人たちのニーズがきちんと反映された機能を搭載してあることに気がつくことができて、「なるほどなぁ」と勉強になった一件であった。
商品のローカライズとは、こういうことである。
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コメント
インド式の桁区切りは、確かに初めて見ると全く慣れませんね。
UAEに来る前にインドで仕事をしていましたが、インド式の区切りを見積書で最初にみた時には『確実にミスだ!』と思い、全てを書き直して計算したため全く予算とあわず、何度も業者と話をしたことがあります。
間に入ってくれたインド人スタッフの説明でやっと理解できましたが、、、。
インド独特の英単語にも私は結構やられました。
コメントありがとうございました。
初めて見るとビックリしますよね。。。こんなものあるわけない、絶対おかしい!と。笑
同じ思いをしている(同じ目に遭っている)方がいらっしゃって、なんだか嬉しい?です。
インドは手強くやっかいですが、「インドを制する者はドバイを制す」だと腹を括りました。これからもお互い頑張りましょう。