イランの新年「ノウルーズ」は春分の日
イランの皆さん、あけましておめでとうございます。
実はイランでは春分の日が新年。
そう、ただ今お正月の真っ盛りである。うちのイラン人社員も休暇中だ。
イランのお正月は「ノウ・ルーズ」と呼ばれる。
「ノウ(نو)」は「ニュー」。
「ルーズ(روز)」は「デイ」を意味する。
【イラン、明けましておめでとう】
ただ今イランは新年
ノウルーズ(نو روز)この日、人々は7つのSで始まる縁起物を飾る。
「コロナが深刻で全く新年を祝えない」
そんな悲痛な声ばかり聞こえてくる。
状況が改善することを祈る。 pic.twitter.com/EIgkNEC2gi— Mona🇦🇪ドバイ (@Monataro_DXB) March 21, 2020
ちなみに例年は3月21日が春分の日であるが、今年(2020年)は閏年であった関係上、20日が春分の日となった。閏年であることをすっかり忘れていた私はノウルーズに乗り遅れてしまって、今ちょっとしょんぼりしている。
新年の挨拶をペルシア語で言ってみよう
イランの言語であるペルシア語(ペルシャ語)で、明けましておめでとう!を言ってみよう。
(↑大きく書いた文字がアクセント)
無理やり英語で表記するならば、こう。
- サール(سال)=年
- エ(_)=の
- ノウ(نو)=新しい
- モバラク(مبارک)=おめでとう
ノウルーズの祝い方
さて、イランのお正月はどのように祝うのだろうか。
有名なポイントを3点だけ紹介したい。この3点をおさえておけば十分に「ツウ」ぶれるはずだ。
チャハール・シャンべ・スーリー
チャハールシャンべ、とは水曜日のこと。
年末最後の水曜に、火を焚いて、それを飛び越えることで、無病息災を祈願する。
これがイランの年末年始行事の始まりだ。
Chaharshanbeh: 28, Esfand 1398. Good morning.
Sorkhi-ye to az man, zardi-ye man az to (let your ruddiness be mine, my paleness yours). Today Iranians mark the beginning of the end of winter, days of cold and darkness, by jumping over fire. Chaharshanbe Soori 🔥 https://t.co/eRlpGJOLNC pic.twitter.com/J3mrfuuuJd
— Rez. 🇪🇸 🇺🇦 (@JrRezvani) March 18, 2020
ただし、今年はコロナウイルスの感染拡大を危惧し「人が集まる原因となるため、チャハールシャンべ・スーリーはやめましょう」という通達が出たため、自粛して「自宅の中でキャンドルを飛ぶ」という代替案がちょっとしたトレンドとなった。
Happy Chaharshanbe Suri! 🔥Celebrated on the last eve of Wednesday before Persian new year, to preserve good health. You jump over the fire & say “Zardi’e man az tu, Sorkhie tu az man.” Meaning, I give you my paleness & sickness, and ask for your energy & light❤️#ChaharshanbeSuri pic.twitter.com/igl06Vte6u
— Melody Hossaini (@Melody_Hossaini) March 17, 2020
ハフト・スィーン
直訳すると「7つのS」。
これは、س(スィーン)で始まる縁起物を7つ(هفت)並べるお飾りのことだ。
冒頭のTwitterに載せた画像がそれだ。
各家庭によって多少バラつきがあるが、以下のあたりから7つ(以上)を並べる。それぞれの物には意味があるので、それぞれ何のシンボルかを併記したい。
- Sib (りんご):健康、美
- Sabze(緑の植物):自然、誕生、成長
- Seer(ニンニク):健康、滋養、守る
- Sekkeh(コイン):富、反映
- Serkeh(酢):忍耐
- Somaq(植物の一種):太陽
- Samanu(お菓子の一種):力、実り
- Sonbol(ヒヤシンス):春の訪れ
- Sa’at(時計):時間
S以外にも、縁起物として
- 鏡:光り
- 金魚:幸運
- コーランまたはハーフェズ(ペルシアの詩集)
も併せて飾られるのが一般的だ。
以下は駐日イラン大使館のハフト・スィーン。
٢٠ مارس ، نوروز ايراني و بهار ژاپني مبارك باد !
3月20日の春分の日に、新春と自然と季節の節目を祝福する文化は、イランと日本の人々が古くから共有してきた伝統の一つです。
イランの新年(ノウルーズ)と日本の春の訪れをお祝いします。#نوروز #nowrūz #Iran#ノウルーズ pic.twitter.com/jkKvIaa2pL
— IranInJapan/ 駐日イラン大使館🇮🇷🇯🇵 (@IraninJapan) March 19, 2020
以下、ロウハニ大統領は時計(Sa’at)も入れる派らしい。
#نوروز بر همه ایرانیان و ملتهایی که آن را گرامی میدارند مبارک؛ بهویژه آنهایی که در این لحظه در حال خدمترسانی به مردم هستند. pic.twitter.com/mDBv04bSe3
— حسن روحانی (@Rouhani_ir) March 20, 2020
ハフト・スィーン用に、街角にたらいを並べて金魚を販売する光景は、イランの年末の風物詩である。
(と同時に「金魚も生き物だ。行事のためだけに命が生産され、消費されるのは倫理的にどうなんだ?」という議論もある。)
スィーズダ・べダル

一連のお正月行事のシメにあたるのが、この行事。
スィーズダ、とは数字の13のこと。新年13日目に、家族みんなでピクニックに出かける。
行き先は、ちょっとした野山や公園。そういった緑の屋外へ出かけて、軽食をとって楽しむイベントだ。
時期的には4月頭となるので、日本のお花見シーズンとちょうど重なる。
あなたが日本で桜の下で楽しんでいる頃、遠く離れたイランでも、人々がきっと似たようなことをしているはずだ。
尚、この日はイランでは祝日で、お休み。
このピクニックを以って、一連のお正月行事はおしまいとなる。
なぜ春分の日がお正月なの?
そもそも、なぜ今がお正月なのか?というと、実はイランには「イラン暦」と呼ばれる、西暦とは違う独自のカレンダーが存在しており、そのイラン暦における1月1日は、西暦でいう春分の日なのだ。
ちなみにイラン暦は、中東で広く採用されているイスラム暦(ラマダンの日などを決めるやつ)とも異なる別モノ。
そう、イランには、今もなお、
- 西暦
- イスラム暦
- イラン暦
3つのカレンダーが並行して存在している。もちろん3つとも現役バリバリである。
「3つのカレンダーがあるってどういうこと?」を詳しく知りたい方は、また別の投稿でご紹介するので是非ご覧いただきたい。
不思議の国イランに興味を持ってしまった方はこちらをどうぞ。一旦踏み入れたらもっと知りたくなって後戻りできない世界があなたを待っている。(ようこそ。)
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