ドバイもロックダウンしました
4月4日(土)の夜より、遂に私の住む街ドバイでもロックダウン(都市封鎖)が実行された。
現在は、
- 外出禁止:どうしても外出する際はオンラインで許可証を取得する。1世帯1名のみ可。
- 出勤禁止:全社員のリモートワークを義務付け(医療関係者など特定業種を除く)。
- マスクと手袋の義務化:戸外では常にマスクと手袋を着用すること。
- ショップは閉鎖を継続:モールなど閉鎖。スーパー、薬局、生活必需品を取り扱う店は除外。飲食店はデリバリーのみ。
- メトロとトラム運行休止:全路線運行せず。バスは無料で、タクシーは半額で、営業継続。
- 空路閉鎖:引き続き運行せず。そのため、ビザが切れてしまっても罰金免除。(貨物便は継続。4/6より出国用フライトを数本のみ飛ばすが、「出る」オンリーで、「来る」フライトは依然なし)
という状況である。
(違反者には罰則あり)
↓外出禁止中の夜のドバイ中心部。車が全然見当たらない。お見事!
ロックダウン(都市封鎖)決行までの経緯
UAEでロックダウンが実行されるまでには、いくつかの段階を経ている。徐々に閉めて行ったのだ。
順番に言うと、こうだった。
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3/23(月)外出自粛指示のアナウンス。
市民は「外出自粛を指示するなら、出社に関しても指示を出してくれー!」と騒ぐ。
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3/25(水)夜、ショッピングモール類が営業終了。
(発表されたのは2日前)
これでもうスーパーと薬局しか出かける場所がなくなる。
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3/26(木)より社員8割リモートワーク義務化。
(発表されたのは前夜、ド深夜)
朝起きたら出社NGでびっくりした人も多いのでは?
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3/26(木)週末夜間外出禁止令。
木曜夜から日曜朝まで、20:00〜翌06:00の間を外出禁止とした。
(発表されたのは木曜の午後)
ドバイは金曜と土曜が週末であり、日曜が週始めなので、これは「週末夜間ロックダウン」ということ。
ここで初めて、ぷち・ロックダウン体験をした。
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その後も、夜間限定外出禁止令を継続。
夜間の定義は20:00〜翌06:00。
日中は「不要不急の外出は自粛せよ」であり、禁止ではなかった。どうしても必要であれば昼間外出はOK。だが、この時点で既に屋外に人は出なくなった。街は、すっからかんに。(トップ画像の写真はこのとき撮影)
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4/4(土)の夜より24時間の外出禁止令に変更。
(発表されたのは当日、夜)
期間は2週間…ということだが、本当に2週間で終わるのか?
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こんな感じだ。
この通り、段階を経ていて、徐々に強めてきた感がある。
とはいえアナウンスがいつも急すぎる(しかも、深夜の2時とかにアナウンスする!)のが、ザ・トップダウンのアラブの国という感じである。
渦中にいるときは「毎日毎日、新しいルールを作りやがって!」と面倒に思っていたが、振り返ってみれば、ちょっとずつ順番に閉鎖をしており、市民は引きこもりに体を慣らし、それから遂に決行されたーというのが私の体感だ。
UAE、ロックダウン決定のタイミングは?
ロックダウンが決行された4月4日の夜とは、こういうタイミングだった。
- 感染者数:1,505人
- 1日あたり新規感染者数:241人(これまでで最多を記録)
- トータル死者数:10人
※尚、UAEの人口は980万人。(2020年)
UAE政府が何を判断基準にしてロックダウンを決定したのかは分かりかねるが、ともかく、こういうタイミングであった。
ロックダウン中、できること
外出禁止で、あれもできない、これもできない、ナイナイづくしのようだが、「できること」も書いておきたい。
通信規制の緩和
嬉しいのはコレである。
UAEはここ数年、SkypeやLINE通話、Facetimeのような「インターネット回線を利用した無料通話」は使用不可であった。使いたければ、指定の有料VPNが必要だ。(5年前は普通にSkypeできたのに!ちくしょう!)
しかし。
今般、都市封鎖・空路封鎖という現状を鑑みた恩情なのか、いくつかのサービスが解禁された。
- Skype for Business(ビジネス版のみ)
- Google Hangout(一般庶民向けにはコレ)
さっそく私も恩恵を享受して、たまにハングアウトで友人と夕食を共にしている。
食事の出前
Uber Eats、Deliveroo、Talabatなどのお馴染み出前アプリが大活躍。
今までこれらのアプリに非対応だったレストランも、いくつか急にアプリ上に登場した。(Fujiyaさんも!)
上記アプリに依存せず、独自のサイトを持って注文を受け付けている飲食店もある。(Wokyoさんとか!)
宅配スーパー
私が毎度オススメしている宅配スーパーのアプリInsta Shopは、今回も活躍。
いつでも食材や薬を家まで届けてくれる。本当に助かる。
大手スーパーのCarrefourもオンライン・デリバリー対応をしているが「注文が殺到していてかなり待たせますので、前広にご注文お願いします」という表示になっていた(4/8現在)
ネット通販
Amazon.ae、noon.com、OUNASSをはじめとした各種オンライン通販サイトは元気。
今やネット通販が小売業の生命線なので、大手はもちろん、各ショップが独自に展開する通販サイトもかなり力を入れており、毎日広告がピコピコうるさいくらいである。
今だけ!の特別宅配対応も
また、普段はデリバリー対応をしていないお店も、今だけは対応を変えていることがあるので要チェック。
例えば、エルメスやルイ・ヴィトンといったハイブランド。通販サイトが作られたワケではなく、個別対応でお届けにあがるという外商スタイルで、なんとか売上を作ろうとしている。
意外なところでは酒類販売店。
・MMI
・African+Easttern
彼らがホームデリバリーのサービスを開始した。もちろん合法だ。これに喜ぶ日本人は多いのではないだろうか。(購入時にライセンスが必要なのは通常通り)
【酒も宅配スタート】
普段なら断固として宅配しない店が、対応を始めつつある。驚いたのはこの4店。
▶️African+Eastern
▶️MMI
酒屋🍺勿論合法。購入ライセンス必要。▶️Louis Vuitton
▶️Hermès
通販なんて下々がやるもの…って顔してなかったっけ?笑背に腹は変えられないよね、頑張れ。 pic.twitter.com/4DR5WNOVX5
— Mona🇦🇪ドバイ (@Monataro_DXB) April 8, 2020
ロックダウンを快適に過ごす
周囲の話を見聞きするに、小さいお子さんがいる家族連れや、仕事を継続しなくてはいけない人は、心身ともに大変そうである。
だが個人的には、幸いにも、快適に過ごしている。それはもう申し訳ないほどに。
快適さの要因は、
- 買い占めやパニックが全く起きていない。
- 中心地に住んでいるため、あらゆるデリバリーの配達エリアに含まれている安心感。
- 仕事が休み、給料そのまま。(※仕事の様子はこちら)
- 一人暮らしのため、守るべき人も、喧嘩する相手もいない。
- マイカーありで(実は去年購入)、自ら運転するため、外出時に公共交通機関を使う心配が不要。
- 健康。
- 身近な人々も健康。
- 元々インドア系の趣味が多い。自炊も好き。
- 何日も人と喋らなくても平気な性格。
- 快適なアパートに住めている。(見晴らしの良い大きな窓がある高層階住みで、いつも開放感MAX。引きこもりなのに閉塞感ゼロ)
- 急なルール変更が発表される直前に、なぜか買い物や用事をヒョイっと済ませるファインプレーが何度もあった。(野生の勘)
- 万が一、経済が回復しなくて倒産やクビになっても、まぁどうにかなるっしょ、と思っている。
そんなところだろうか。
医療関係者を始めとした前線で戦っている方々をはじめ、仕事・家庭・学業などそれぞれの問題に直面して大変だという人も多いだろう。その一方で、でーんと構えて飄々と過ごしている奴もいるんだなーと、鼻で笑っていただければと思う。
ドバイは、大勢の「持たざる者」と「新入り」で構成されている都市である。
「外国人が9割で、人の入れ替わりが激しい出稼ぎ都市ドバイに、そこそこの年数を住んでいる先進国出身者」というスペックである私は、決して裕福ではないものの、この街では「持てる者」側の人間であるはずだ。
だから、この街にいる限り、私は、助けられる側ではなく、助ける側でありたいと思うのだ。
その余裕を持っていたい。
まぁ、私なんぞに助けられる人なんているのか、とも思うが、少なくとも迷惑をかけない、手のかからない市民ではあるはずだ。たぶん。
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