ドバイ万博の延期が決定
2020年。
夏には東京オリンピックが予定されていたが、その後の秋冬ー10月から翌年4月にかけては、ドバイ万博、EXPO2020が予定されていた。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ドバイ万博の延期が発表された。
東京オリンピックの延期が発表されてから、わずか数日後のことであった。
今のところ、新しい日程は
とされている。
今のところ「2020」という名称は変わらない予定だ。
ドバイ万博の意義
ドバイ万博は、中東・アフリカ地域で初の万博である。
そのことに大きな意義がある。
今までいわゆる「第三世界」扱いだった地域から、のし上がって名乗りを上げたのだ。
つまり、日本とアジアにとっての、1970年の大阪万博みたいな位置づけと言えるだろう。
かたや戦後の焼け野原から、高度経済成長期へ。
かたや砂漠から、国際色豊かな経済都市へ。
「俺たちここまで来たんだぜ!」という
マイルストーンのような万博なのだ。
尚、現在UAEを先進国としてカウントするかどうかは、定義する機関によって異なる。
国際通貨基金によれば新興国(途上国)で、国連開発計画によれば先進国。そう、まだまだ道半ばなのだ。
えっちらおっちら成長する道中で、中東・アフリカ地域の中で一番最初に、なんとか万博開催地となれるレベルに到達したーそれがUAEであり、ドバイ万博2020である。
(「UAEって先進国どころか未来都市じゃないのん?」と思っている人がいたら、観光客ならそれでいいが、住もうとしている人や仕事しようとしている人がその解釈ならばちょっと目を覚ました方がいい。)
ドバイは、いやUAEは、国家プロジェクトとしてドバイ万博に向けて突っ走ってきた。
官も民も、お金を突っこむ、人手も突っこむ。
Dubai Expo 2020を合言葉に走ってきた。
思えば私自身、ここ何年もの間、様々な立場から万博開催という未来像と付き合ってきた。仕事もした。
「ドバイでは2020年に万博がありまして」という話を何度してきたことか。万博がなければ今日ドバイに住んでいなかったかもしれない。
それが、誰にも予想できなかった形で延期になってしまった。
仕方ないと理解しつつ、いろいろ振り返ってしまうものがある。
万博スローガンが泣けるんだ
ドバイ万博のスローガンをご存知だろうか。
心を繋ぎ、未来を創る。という意味だ。
コロナ禍に翻弄される今、このスローガンは新しい意味を持ち始めたように思う。
私自身、もともと「あーいい言葉だねー」くらいにしか思っていなかったのだが、今ロックダウン生活をしている中で改めて聞くと、ちょっと違って聞こえてきたのだ。
2020年に訪れる筈だった未来は、なくなった。
これを乗り越えるためには、
誰か一部の人間だけが頑張るのではだめ、
皆が協力しあわないと、来るべき未来は創れない。
一丸になってこそ、今年訪れる筈だった未来を、
今度こそ創れる。
Connecting minds, Creating the future.
以下の動画を見て欲しい。
ドバイ万博をマイルストーンとして捉え、何かを頑張ってきた人にとっては、心に響くものがあるのではないだろうか。
どうなるドバイ経済
万博が延期されてしまったとなると、当然ながら心配なのは経済である。
コロナ禍で小売や宿泊を始めとした各分野が大打撃を受けていることは勿論、万博関連の投資回収がまるっと1年のびてしまったわけだ。
ホテル、マンション、メトロ延伸、会場建設といった目に見える投資を始め、官も民も、大小いろんなプロジェクトが動いてきた。その全員のキャッシュフローが一気に悪くなってしまったことになる。
こうなると、
「今は支払いできない」とか
「給料払うの無理」とか
そういう会社が出てきて、割りを食ったところが倒産したり、失業者が増えたりすることは目に見えている。
一応言っておくが、UAEの会社・ドバイの会社は、平気で支払いを渋る。ゴネる。あっさり途中で放棄する。
どこで誰にどう聞かされてきたのか分からないが、UAEだドバイだと聞いただけで、金払いが良いに違いないと思いこんでいる日本人がいるようだが、全くもってそんなことはない。
これには会社規模の大小は関係ない。
対外国企業か、対UAE企業かも関係ない。
そもそもドバイは、ここ数年景気が悪かったのだ。
イラン制裁されているし、カタール断交してるし、イエメンに予算削られてきたし、不動産は供給過多だし、万博関連に巨額の予算つっこんでるし、原油価格も(私はさっぱり詳しくないが)低迷している。
首長国予算は赤字である。
身近なところでは、家賃が毎年下がっているし、コロナのずっと前から巷では減給や給与未払いといった話で溢れていた。
でも「2020年には万博がある!」ということで、国家の威信をかけて一所懸命キラキライメージを取り繕ってきたのだ。
分かりやすく言うと、アパートが余って空室だらけなのに、それに目が向かないようにド派手な建設プロジェクトを打ち出して「さすがドバイ景気良さそうだな」と演出したりする。そんな感じだ。
そうやって取り繕ってきたところに未知のウイルスがやってきてしまった。
株価もこんな↓↓調子である。
(DFMインデックス、直近6ヶ月)
最悪の事態を避けるためにあれこれ策を講じようとしてるみたいだが、まだ先は見えない。
どうなることやら、渦中から見守りたいと思う。
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