コロナで給料が半分になった
まぁタイトル通りなのだが、厳密にはこうだ。
ドバイが外出自粛、そしてロックダウンになってからというもの、有り余る有給休暇を存分に使って休んでいた私だが、月末の給料日を前に、社長から全社員宛てに送られたメールを受け取った。
趣旨はこう。
- 誰も解雇しないためのベストを尽くすから協力してくれ。
- 社長はじめオーナー一族は最低2ヶ月間、無給にする。
- ロックダウン中も働いていた人には給料を全額支払う。
- 有給休暇を取得していた人は、4月に取得した有給のうち15日分を、無給休暇だったことにさせてくれ。
- その分、あとから追加で15日ぶんの有給休暇を改めて付与するよ。
そして給料日、いつもよりだいぶ少ない、というかほぼ半額のお給料が振り込まれた。
この状況下では仕方ないことだし、代わりにまた有給がもらえるしで、不満はない。
個人的には目先の収入が減っても、貯金や副業収入でメシを食えばいいだけの話なので、問題なく「どーぞどーぞ」なのだが、コロナ不況のナイフがいよいよ己の喉元までやってきたことを実感する。
出身国と給料
気がかりなのが、当社に大勢いるフィリピン人たちである。
彼女たちのほぼ全員が、私と同様に4月は休暇を取得していたはずだ。
彼女たちは、もともと私の半分以下の給料で、その金額の中から故郷の家族へ仕送りをし、自らもメシを食っている。フィリピン人というのは計画的な金の使い方ができない国民性で、あればあるだけ勢いよく浪費するため、誰もが給料日前はいつも金欠だ。貯金などあるわけがない。
当社の場合、セールスの子は売上からのキックバックで収入を上げることができるのだが、休暇の間はそれも不可能だ。
あの子たちと、その仕送りを受ける家族たちは、どんな顔でこのメールを受け取っただろう。
ここは、出身国で給料が決まる国だ。
私など、日本に生まれたというだけの理由で、給料のスタート地点が違う。そりゃ確かに大卒だとか業務内容だとかの理由はあるが、もし私と全く同じスキルを持ったフィリピン人がいたとしても、日本人の私と同じ給料にはならないだろう。
それがUAEという国である。
今回、私の給料は半額だったが、これは彼女たちの普段の給料よりも多い金額だ。
先進国ってなんなんだ。
先進国出身者の責任ってなんなんだ。
給料半減が「うらやましい」
先般ロックダウンが解除されたので、ショッピングモールに行ってみたところ、驚くほど客足は少なく、それに応じて店員さんの姿も少なかった。
行きつけのショップの店員さんと再開&再会を喜びつつ、話を聞いてみると、解雇がガンガン行われているらしい。
あっちのブランドで何人。
そっちのブランドで何人。
うちのブランドは○○の支店を閉鎖するから、そこのスタッフ全員。
などと。
「減給」という策を取ったうちの会社の話は、ぶっちゃけ羨まれた。
それは解雇ではないのだから。
まずモールに入る際に、額にかざすタイプの体温計で熱を測る。
各テナントは各々の店舗面積に応じて入店人数を制限。
ゴーグル着用義務の店舗もある。
こんな物々しい中なんとか営業しても、客足は戻らない。応じて販売員も削る。営業再開したとはいえ、みんな苦しいな。
(ドバイのエミレーツモール) pic.twitter.com/y09uIWi55K— Mona🇦🇪ドバイ (@Monataro_DXB) May 1, 2020
職がないのに帰れない
ある出稼ぎフィリピン人の住むシェアハウスには、失業したルームメイトがいる。この状況下では新しい就職先など見つからない。かといって、帰国しようにも、彼女の母国行きの飛行機が飛んでいないという。
どうしようもないので、無収入のまま、この物価の高いドバイで、ただ日々をやり過ごしているらしい。
金銭的な余裕はどんどん無くなっていく。
そこで、ルームメイトの中で協力体制を敷くことにして、職がある子たちが食糧を持ち帰り、失業した子たちに食べさせているという事態になっているらしい。
その子は幸運にもルームメイトに恵まれたが、弱者と弱者が優しさだけで支え合うなんて構図、いつまで持ち堪えられるだろう。そしてこんな状況が、ドバイじゅうで発生しているはずだ。せめて帰国便があればいいのだが。
貯金はないの?副業でもすれば?と言いたくもなるが、出稼ぎワーカーたちの環境を見たら、そんな能や道具を持てる環境にいない人がわんさかいることが分かるだろう(言い方は悪いかもしれないけど…)
雇用契約書覚書はオンラインだった
私の話に戻ろう。
4月に取得した有給休暇のうち15日分が無給になることが決まり、合意したとき、一筆求められたのだが、そこは流石21世紀。
UAEの正式なフォーマットでできた雇用契約書の覚書が、オンラインでスパっと完了したのだ。
こんな経験まず二度としないだろうし、オンラインサインは本当に効率が良かったしで、なかなか興味深い体験だったので、せっかくだからお見せしたい。
オンライン署名は「HelloSign」というシステムを通じて行われた。これは日本でいう「クラウドサイン」によく似たシステムで、書面の内容に合意してPC画面上でサインをすると、双方にPDF化された契約書が届くというもの。
こういうシステムは個人でお仕事を請け負う際などに使ってきたので慣れてはいるが、まさかこんな場面で使うことになるとは…。いやはやである。
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