インド製 英単語
前回、インド英語の発音や文法の特徴について気づいたことを書いた。
今回はインド英語のオリジナル英単語について書いていく。
日本人が和製英語を作るように、
インド人が作ったインド製英語、
というものがあるらしいのだ。
postponeからの「prepone」
ある日、
インド人・レバノン人・バハレーン人・日本人というメンバーで、
プロジェクトのスケジュールについて話し合っていたときだ。
インド人「この搬入はpreponeが可能です」
初耳の単語。
だけど、正直、これはいい!と思った。
英米の英語にpreponeという単語は存在しない。
私も初耳だ。
なのに瞬時に意味が分かるではないか。
もちろん意味は
Postpone (延期)に対する
Prepones (前倒し)だ。
「対」になっている感じがよい。
ふだんインド英語にブーブー文句を言っている私だが
こういった便利な単語の発明には
ついつい賛成票を投じてしまう。
独特の言い回し「good name」
「あなたの名前は何ですか?」
これを英語にすると通常は
What’s your name?
Can I have your name, please?
といったところだろう。
これをインド人に言わせると
Can I have your good name?
となる。
一瞬、戸惑わないだろうか。
Good name って何?
first name(下の名前)、last name(苗字)とかの話?
実は、なんでもない。
インド人の母語であるヒンディー語では、
あなたの名前は何ですか?と尋ねる際に、
名前の部分を「良い名前は」と言うらしい。
英語を話す際も、ヒンディー語の言い回しを引きずってしまう人は、
直訳で「good name」と言ってしまう…
という構造らしい。
そしてこの3人に1人がインド人であるドバイ。
3人に1人が使う英語が、この地の標準の英語、
となっていってもおかしくない。
徐々に伝播に伝播を繰り返し、
最近はフィリピン人も
「Can I have your GOOD name , maaam?」
と言うようになりつつある。
汎用性高い「same same」
セイム、セイム。
これほど便利な語句はなかなかないのではなかろうか。
意味はおもに2つ
・同じ(本来の意味通り)
・その通りに(←これが便利!)
(指示を受けて)「その通りにやりますね」
といった時に使う。
「I do it same same」
といった感じだ。
私は学校で習った単語accordinglyなどを使ってきたが、
それよりもsame sameの方がどう考えても楽だ。
様々なシチュエーションで使えて
「変更ありませんか?」は「Same same?」
「いつも通りです」は「Same same」
「仰せの通りに」は「Same same」
「異議なし」は「Same same」
なんという汎用性。
まるで日本語の「宜しくお願いします」である。
(日本語の「宜しくお願いします」は、場面によって
「依頼をします」
「会えて嬉しいです」
などなど多様な意味を持っている)
Same Same は本当に便利なようで、1日に何回も聞く。
ただし、どちらかというとワーカーたちの英語である。
ちょっと難しい適切な英単語が分からない人にとって、
汎用性高いsame sameは便利な表現なのだろう。
ときどき私もsame sameと言いたくなっては
ぐっと踏みとどまっている。
よくもまぁ、便利な英語を発明するものだなぁ。
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