ドバイビジネスの現場から
ドバイ(UAE)における会社設立に関しての話題。
ドバイの日系企業・日本人コミュニティから離れた荒野において、
ビジネスの渦中に身を置く野良日本人である私が
思いがけず拾った情報を共有したい。
尚、荒野と表記したのは
「日本人社会・共同体から離れている」ことを意味する概念的荒野であって、
実際の生息地はめちゃくちゃ普通に市街地なのはご容赦を。
ドバイ(UAE)で法人を設立する2つのスタイル
ドバイ、というかUAEで会社を設立してみよう!と思ったことがある人なら
誰でも知っていることだと思うが、念のためまとめておくと、
大きくザックリ以下の2つのスタイルに分けられる。
(細かく説明すればもう少し分けるべきだが、本日の趣旨はそこではないので、ザックリ行く。)
フリーゾーン内
フリーゾーン(経済特区)内ならば、外資100%で法人設立が可能。
日本から持ってきたお金だけで会社が作れる。
ただし、可能な商業活動の範囲は、所属するフリーゾーンにより制限がある。
お金を払って、営業ライセンスを各フリーゾーンから発行してもらい、経営することとなる。
主なフリーゾーン:JAFZA、DAFZA、DIFC、Internet City、Media City、Health Care Cityなど。
業種や機能、ロケーションの要望にぴったりのフリーゾーンを選ぼう。
ドバイ首長国だけでなく、シャルジャ首長国(Sharjah)やアジュマン首長国(Ajman)にもある。
フリーゾーン外
我々外国人がフリーゾーン外に法人を設立する場合は、
資本金の51%以上をローカル・スポンサーに出資してもらう必要がある。
つまり、ドバイ人などローカルのエミラティにスポンサーになってもらわなくてはいけない。
また、スポンサーになっていただく対価として(高額な)謝礼金を支払うのが通例。
ただし、可能な商業活動の範囲は、フリーゾーン企業の場合より広いというメリットがある。
スポンサー探しという難
というわけで、
フリーゾーン以外の地場に会社や支店を設立したいという場合は、
適切なローカル・スポンサー探しと謝礼金の交渉に悩むというのが、ドバイ進出あるあるだ。
ドバイに来たばかりで、ドバイ人の友達なんていないよ。
ドバイ人に限らず、エミラティの知り合いのネットワークなんて、持ってないよ。
いても、共同出資を相談できる相手とは限らないよ。
どこからどう探したらいいんだよ。
地元っ子たちは自己資本だけで会社を作れていいなぁ。
…みたいな。
「UAE人以外のビジネスマンは、そういうことで皆んな悩んでいるんだろうな」
と思っていた。
が、違った。
GCCというジョーカーを切れ
実はこのローカルスポンサー、ローカルのエミラティ(UAE人)じゃなくてもいい。
実は、ドバイの商業活動において、
GCC諸国*の国籍を有する人なら皆ローカル扱いなのである。
(*GCC=湾岸協力会議)
(※カタール、クエートを除く。カタールは国交断絶中。クエートは部分的にイレギュラー有り要注意)
GCCの国籍を有する人は、
たとえUAE人じゃなくても(外国人でも)、
自己資本100%でUAEに会社を設立することができる。
また、同様に、我々のようなGCC外から来た外国人に対して
スポンサーになることもできる。
もう少しヒネると、
例えば日本人がUAEローカルのスポンサーをつけて
バハレーンで起業することもOKである。
そう、GCCならね。
というわけで!
どうしても「ドバイ人の出資者が見つからないよー」と悩んでいるそこのあなた。
サウジアラビア人や、バハレーン人に相談してみてはいかがだろうか。
パンがないなら、ケーキを食べればいいじゃない。
ドバイ人が見つからないなら、サウジ人を探せばいいじゃない。
・・・もっと難しい?
※これは2019年1月時点の情報です。また、上記に記載していない細かなイレギュラーが存在します。実際にトライされる際は、適切な公的機関・専門家と相談・確認をしてください。
知った経緯
たまたま、ドバイのフリーゾーン外の地場に法人を有する、
某GCC諸国出身の起業家くんの所有する商業ライセンスを見る機会があった。
彼はUAE人ではない。
すると、法人の形態に「ソロ・エスタブリッシュメント」と書かれており、
出資者名の欄には彼の名前だけが書かれていた。
私はそれまで「外国人はUAEのローカルスポンサーが必要」とばかり思っていたので、
「おやおや?これはもしかして?」と思ったわけである。
そこで
「商業ライセンス見たんだけどさー、フリーゾーン外の法人なのに、あなたの自己資本100%ってことは、GCC出身者は特別なの?」
と質問してみた結果、
「GCC出身者はUAEの商業法上ローカル扱いであること」を教えてくれた。
「だからGCC出身である僕は、100%自己資本でいいんだよ」と。
あぁそうか。
いろいろ合点が行った。
だからこの人はいろんなGCC諸国にヒョイヒョイ支店を作るのかと。
彼にとっては、GCC各国に支店を作ることは
「いろんな国に会社を作るぞ」というニュアンスではなく、
「東京人が大阪と福岡と札幌に支店作るぞ」くらいのニュアンスなのだろう。
そこから色々調べて、上記のようなことが分かった。
「じゃぁ私がドバイの地場に会社を設立したい、って言ったら、あなたがスポンサーになれるっていうこと?」
「うん。いつ要る?」
いらんw
国籍を問わず、自力でサバイブしている人間との会話はいつも楽しいものである。
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