カタール断交から2年が経過、民間企業の体験談

カタール断交 ビジネス
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カタール断交から2年

早いもので、あれから2年が経った。

 

UAE、サウジアラビア、バハレーン、エジプトが、カタールとの国交を「突如として」断絶し、騒がしい衝撃的な朝を迎えたことを今もよく覚えている。

 

「 」をつけたのは、実は全然「突如」ではないからだ。

我々日本人があまり注目していなかっただけで、当事者の国々の間では長い年月のやりとりがあり、最終的に断絶に至っている。

2017年6月、断交した当時のビジネス雑誌。

カタールが黄色と黒のテープで囲まれ、「STOP」の停止表示が掲げられている。

 

上記4カ国に加えて、モルディヴやモーリタニアもカタールとの国交断絶を宣言しているが、正直なところジャイアンに追随しただけだろう。

 

当時、この状況がどれほどの期間続くのか分からず、我々民間企業は、長期目線での根本的な対処をすべきなのか、しばらく待っておけば戻るのか、誰にも分からず困惑した。

 

しかし、小国カタールは、兵糧攻めにも屈せず、予想をはるかに上回るグローバルで柔軟な対応を次々ととり、2年を経た今日に至るまで、この状況に音を上げる気配など全くない。

 

今となっては、断交した状態がデフォルトとなっており、いつか終わるというイメージは湧かない。

 

当時のドバイ一般市民のリアクション

断交直後、エミラティ(UAE人)の友人らとこれについて会話をしたことがあった。

私にとってカタールとの断交は突然の事件だったのだが、彼らには「驚くことじゃないぞ?」と説明された。

 

カタールは、GCCの中でも独自路線をとってきた。それは分かりやすい事実ではある。

例えば、遠慮なくサウジの王室批判をする自由なマスメディア「アル・ジャジーラの存在。

(サウジと不仲の)イランとの親密さ。などだ。

 

そういった事実はいくら政治オンチな私でも認識している。しかし、GCCに加盟している国同士、そこまで不仲だという認識はしていなかった。

 

その日までは。

 

詳しく聞いてみると、カタールの独自路線は、今に始まったことではなく、昔から再三の”外交的警告”がされてきたという。

「彼らは15年以上前から我々の警告を無視してきた。

3年前もだ。毎回だ。

UAEとカタールは本来、

同じ湾岸諸国だが、

彼らの勝手は許されるものではない。

我々は何度もちゃんと話してきたのに、

彼らは何度言っても聞く耳を持たないんだ。

今度こそ、いい加減に、気づくべき。

そういうことだよ」

 

と。

 

彼の言葉は、カタールのハマド首長のクーデター(1995)や各国大使のドーハからの召還(2014)のことを指しているのだろう。

(恥ずかしながら政治オンチの私は、言われたときはピンと来ず、帰宅後にググった。)

 

イギリスから独立する際に何かちょっと事情が違えば同じ国になっていたかもしれない者同士。身近な存在だからこそ許せない不協和音。

民間企業の前線での記憶

ドバイ含むUAEと、カタールが断交したことによる影響は、どのようなものか。

 

政府・政治うんぬんの大きなうねりの話ならば、ご立派な記事があれこれ出ていると思うので、私からは、普通の一般企業、末端の前線のちっぽけな一般社員にどんな影響があったか、現場の話を記しておきたいと思う。

 

ヒトもモノもオマーンを経由するようになった

直行便がなくなったので、ドバイからカタールへ移動するには、ヒトもモノも、オマーンのマスカットを経由して飛ぶようになった。(クエート経由でも可)

ドバイ支店からカタール支店に書類を郵送するにも、一旦マスカット支店で受け取って、開封して、封筒を入れ替えて、相手支店へ送ってもらう。

 

UAEからカタールへモノの輸出をするにも、UAEからオマーンへ一旦きちんと輸出して、オマーンから改めてカタールへの輸出手続きをする。カタールへの通関時に問題がないよう、Made in UAEのスタンプは敢えて押さずに送る。

 

このせいで、倍どころじゃない時間がかかるようになった。

 

最近マスカット国際空港がリニューアルしたのは、この急激な需要増を反映してのことではないか、と思ってしまう。

(かなり綺麗になったらしい。元々計画されていたのだろうけれども…)

 

今となっては幻と化した、ドバイ発ドーハ行きの、カタール航空のチケット。

DWC(アルマクトゥーム国際空港)から発着していた。

 

会社の資本を入れ替えた

これはUAE地元企業の話。

ドバイ人である友人の所有するUAE企業は、GCC諸国に自己資本の支社をもっていた。

GCC国籍保有者ならば、GCC内では自国以外でも自己資本で会社設立ができる

当然のように、カタールにも支社があった。

 

しかし国交断絶となった以上、UAE資本の会社をカタールに持っておくことはできない。

 

そこで、地場パートナーと急遽ミーティングをしてカタール側の資本にごっそり入れ替えることにしたという。

ビジネスを継続させるための応急処置とはいえ、オーナーシップを手放す形に着地せざるをえなかった。

 

送金が思いがけないところで止まった

カタールなんて関係ない某国からUAE宛の送金を待っていたある日。

待てど暮らせど着金しない。

 

さすがにおかしい、と思って調べたら、送金銀行と着金銀行には全く問題ないのに、中継銀行がカタールにあって、止められてしまっていたことが判明。

 

銀行から国際送金した経験がある方なら分かるだろうが、国際送金は目的地の国へダイレクトに、ではなく、どこかの国の銀行を経由してくることがあり、どこを経由してくるかは選べない。

着金した後で「あぁ、お前はこんな国を経由してきたんだね」と分かるものだ。

 

それが運悪くカタールの銀行で、運悪く断交のタイミングでの送金だったため、引っかかってしまっていたという話であった。

 

販促物の一斉作り変え

また、まさに末端の現場においては、カタール支店の名前の入った販促物をごっそり廃棄。

すべて作り変えた。

 

「カタールとビジネスなんてしてないですよ」というフリをするためだ。

 

「支店一覧」のようなものは、探せば案外いろんなところにあった。

Webサイト、会社概要、パンフレットなど資料、紙袋などの各種梱包材。

ひとつひとつは小さくても、全体では大きな量だ。

 

SNSからの削除は特に面倒で、#Qatar をちまちま消していく地味すぎる作業

 

すべてを作り変え、カタールとビジネスなんてしておりません、という顔をしている。

しかし、ビジネスを継続していることは暗黙の了解、周知の事実である。

カタールへの旅行に影響は?

では、政治やビジネスを抜きにした観光はどうだろう。

 

カタールと国交を断絶した当事国同士では、当然、人の行き来はなくなった。

 

しかし、我々日本人には関係ない。

 

UAE在住で、UAEのビザを持っていても、カタールへの入国に問題はないし、カタールへ入国した形跡があってもUAEへの入国に問題はない。

 

ドバイ・ドーハ便のような直行便がなくなっただけで、他の国から入国すればいいだけの話である。飛行機なら他にいくらでも飛んでいる。

 

日本からドーハへのカタール航空の直行便も健在だ。

カタール旅行してみる?

カタールの首都、ドーハの海沿いにて。

 

カタールを旅したことがあるが、けっこう楽しかった。

 

「ちょっと!ここUAEなんだからやめんさい!」

と言われるだろうが、日本語のブログだから見逃してもらえないだろうか。

 

数年前まで、カタールの首都ドーハは某ガイドブックに「世界一退屈な首都」と書かれていた。

飲めない、打てない、買えない。

史跡もなければエンタメもない。

というのが理由だ。

 

確かに(私のような)マニアックな人間でない限り、カタールのためだけに日本から海外旅行を計画するほどの一大観光地ではないかもしれないが、「世界一退屈」と言われた頃とは実は大きく様変わりしている。

 

ぜひ訪れてほしいスポットをまとめてみるので、機会があれば行ってみてほしい。

 

また、カタール航空は、実は日本からヨーロッパへ行く経由便としても使える。

ドーハで飛行機の乗り継ぎをし、トランジットの間に多少の町歩きなどを選択肢に入れてみると、興味深い体験ができるかもしれない。


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